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【アルバニア旅行②】バスの、乗れた!Tirana-Berat

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ベラトの城跡にあったお土産屋さん

※以下は2016年秋の旅行記です

Googleマップを使おうって話

翌朝、コミュニスト・ホステルを後にした。バス停はどこかと聞くつもりだったけど忘れてしまって、取り敢えず歩いた。朝のティラナは野犬の群が会議している以外は変わったところはない。何となく道端で知り合いに会うと「やあ」って話し始めると止まらない感がやっぱラテンだなと思う。歩いてもバス停らしき所に着きそうにないので、「旅行会社」と書いてあるお店に入ってみた。

 

「エクスキューズミー」

女の人が顔をあげて「ノーイングリッシュ」

 

 喋っとりますやん。もう1軒入ってみた。

 

 「すみません、バス停に行きたいのですが」

おじさん「(怪訝)何のバスだ」

「他の町に行くバスが発着する駅があるでしょう?それどこ?」

「だからバスでどこ行くんだ」

「まだ決めてないけど、とにかくバス停に行きたいのよ」

「(イラっとしながら首を振る)」

「じゃあ、わかったベラトってとこに行きたいの」

「(めっちゃ切れてる)知らん」

 

結構心折れる。長距離バスが発着する拠点ってそんなたくさんあんの?

それか、そもそもティラナから地方に行く人がいないとか?旅行会社にはパリ行きいくら、とかNY行き、ローマ行きっていう字しかない。外国に行く航空券とかツアーしか売っていないぽい。国内旅行しないのか?

 

とりあえず、ティラナから近いベラトっていう観光拠点に行くことにして聞いてみた

 

「すみません、ベラトに行く方法を知りませんか?」

おばさん「(口角下げて首を振る)」

 

これ×3あった。ベラトは私がネットでチョチョイと調べてヒットするぐらい有名な観光地なはず。なぜみんな知らない??もしかして英語喋るのめんどくて首振ってるだけ??泣きそうな顔でもう一軒入った。

 

「すみません、ベラトっていう所に行きたいのですが行き方知りませんか?」

お姉さん「ベラト?知らないわ」

「あぁそうですか・・・」

お姉さん「でも友達が行ったって言ってたから電話して行き方聞いてみるわ」

「!!女神降臨!」

 

お姉さんはその場で電話して、訊いてくれた。「ふむふむ」とメモしてその後グーグルマップを印刷してくれた。

「○番のバスが中央広場から出るから、それに乗って何個めのバス停で降りるのよ、目の前にバスステーションがあるはず」

「あ、ありがとうございます!!」

死ぬまで忘れないぞこの優しさ。お姉さんはメガネをかけていて頭が良さそうで、英語が流暢で、テイラースウィフトをスピカーで聞いていた。イタリアよりもアメリカが好きなのかもしれない。

実はバス停が2つあり、行き先によって区別があって一回まちがった所に行ってしまったが無事についた。バスに乗ると達成感でいっぱいだった。普段は滅多に自分から声を上げない自分が一人旅で他人に尋ねるという原始的な方法で旅してる!すごい私!

※その数日後グーグルマップで事前にルート検索しておけば、オフラインでもGPSは使えるので誰に聞かなくても目的地にいけることを知った。さらに、『地球の歩き方』にもバスステーションの場所などは懇切丁寧にかいてあるらしい......ここまでお付き合いくださりありがとうございました!

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多分ベラトはギリシャにすごく似てる

2、3時間でティラナからベラトについた。そこからは怖いもの知らずだった。すぐに駅にいる人に聞いた「中心部にはどう行けばいい?」「そこからバスが出るよ」バスに乗ってからも運賃徴収係にすぐ聞いた「ここに行きたいの(目当ての宿の住所を見せる)」「(黙って頷く)」バスがしばらく走ると止まった。運賃徴収係は私をみて頷く。当たり前の事が出来るって素晴らしい。

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そこは確かに街の中心に近いようだった。並木道があってすごく気持ちがいい。ティラナの騒音と埃から解放されてベラトはお日様が澄んだ空気を通ってキラキラしてた。前方からおばさんが一人歩いてくる。すかさず声をかける。「ここに行きたいんです」おばさんは少しびっくりしながらも、おいで一緒の方向だよって感じで手をふる。話しかけてみた。

「英語しゃべれますか?」

おばさん「あぁ、英語はちょっと」

「私イタリア語少ししゃべれます」

「え、ほんと?」

そこから何歳?とかどっから来たの?とかどこ行くの?とか簡単なことを初級イタリア語で話した。アルバニア人って照れ屋だけど話好きだ。すると自転車に乗ったおじさんがどこからともなく現れた。普通に英語を喋る

「へーい、どっから来たんだい」

おじさんはなんと客引きだった!アルバニアの中の観光地だもんね!すごく嬉しくなった。なんでもおじさんのうちはホステルらしい。ベットが一つだけ余ってるからどうだ?という話しだった。ドミトリーで値段も安かったので即決。

ベラトは山の合間にある街だった。川が中央に流れてて、川の向こうに美しいギリシャ風の白い建物が並ぶ旧市街があった。おじさんのホステルもそこにあって、驚くほど清潔で広々としたドミトリー部屋にベッドが3つ。確かに2つのベッドの横には荷物が置いてあった。

 

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ゲストハウス・ロレンツ清潔で面白いオヤジがいます

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ベラトの旧市街

おじさんはウェルカム・ワイン(自家製)を振舞ってくれて、庭でそれを飲んだ。イメージはまさにギリシャギリシャ行ったことないけど、そんな気がする。空気は綺麗で、肌に心地よく涼しい。猫がそこらへんにいてみんな毛並みがいい。緑の庭はいいほどよく手入れが行き届いていて落ち着いた。おじさんはアルバニア語を少し教えてくれた。そのまま素敵な庭で日が沈むまでゆっくりしていてもいいかなと思ったけど、散策にでかけた。

ベラトはこじんまりした、くつろげる町だ。観光できるところはホステルのある旧市街と川の向こうにある城跡だけ。城跡までの道はもちろん上り坂だったが、観光客とか全然いない。落ち着いた。余りの気持ちよさに何度も伸びをした。

他人に声をかけることの恐怖に打ち勝った私は、

一人でいるアメリカ人の女の子に声をかけた。

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ベラトの城跡にある正教会

外国とくに西欧では日本ほど一人旅は普通ではないように思う。男一人ならまだしも、女一人旅をしている人に私はまだお目にかかったことがない。だからその白人女性、私と同世代の一人旅人を見た時は胸が踊った。ベラトの唯一かつ小規模な観光地では動線は一本なので同じようなスピードで観光していると、声かけないと嫌っているみたいだし私から声をかけた。

「Hi あなたも観光客ですよね?どこから来たの?」

彼女はアメリカ人だった。確かにふくよかて、必要最低限の機能性と低コストを実現している装備品がアメリカンな感じはしていたが、喋ってみるとニコッと笑って声があんまり大きくない感じがアジア人の私としては好感がもてた。

「彼氏とヨーロッパ一周旅行をしているの」

そーかー....と若干失恋したような気持ちになった。彼女はベラトに着いた日からひどい熱が出ていて、今日の午後までずっと寝込んでいたそうだ。彼氏は彼氏でどっかに行ってるらしい。お互い名前を自己紹介したが、二言目ぐらいでどちらもおそらく忘れ、you and meで話しながら城壁を下った。彼女は私の30ユーロぐらいで買ったプラスティックの黒いワークブーツを褒めてくれた。「いやいやH&Mだよ」というよくわからない謙遜をしてしまって自分も日本人だなと思った。彼女はアメリカで看護師をしていて、それが大好きな仕事だし、もともと働いていた職場はの周りの人が最高だったと言った。ただとても仕事が忙しくて休息が必要だと判断し、バーテンダーの彼氏もそれに便乗して二人で一年がかりのヨーロッパ旅行をはじめた。ちなみに彼氏は大学で哲学を専攻しているが自分の職業と専攻を変えたいらしく自分探し中。彼女とは新市街の入り口で別れた。自分の大好きな職業があって、彼氏もいて、働きすぎた自分の「休息」という目的のために旅をしている彼女が羨ましかった。それに引き換え、自分は目標も目的も彼氏もなく異国の地を彷徨う空気のような日本人....

でも待てよ目的ならある。私はアルバニアに来て映画が見たいと思っていた。私は旅行先で映画館に入るのが好きだ。ティラナにも映画館があったけど、『ブリジットジョーンズの日記3』とか洋画しか上映されていなかった。ベラトは観光地だし、街も栄えているから映画館もあるだろう。

現る“現地ヒモ

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ベラトの城跡からの風景

新市街を歩いていると、サングラスをかけた怪しい男にナンパされた。男はいきなり「ビューティフル」と私に言って私の横に着いて歩いた。「そこのバーでテレビ見ながらビール飲まない?」と誘ってきたが私は映画館を探していたので「ここに映画館ってない?」と聞くと、「映画館...」と考え込んだ。「チーネマだよチーネマ」と私がいうと、分かった!と言って案内してくれた。

これが私の人生初の“現地ヒモ”との出会いだった。現地ヒモとは“現地妻”から連想して私が勝手につくった男の種類だ。「発展途上国の観光地で、一人旅中の女の前によく出没する現地の若い男」と定義している。彼らの90%(国によって違う)はボッてやろうとかいう悪意はなく、ただ外国の女の子が好きだったり、声かけて仲良くなり、食べ物や酒を奢られたり、見返りに自分が観光案内したりってことが目的だ。チップがもらえたり、デートがもっと先まで発展すればなおのことよしだろうが。特にイスラム教の地域や閉鎖的な地方では、「付き合って別れる」っていうのを現地の女とするのはリスクが高かったり、無理だったりする。それこそ“プライベート”な問題に止まらない。また一方で、見慣れない土地を一人で旅している女は一時的に無害な男が隣にいてもそれはそれで迷惑ではないし、むしろその現地人情報を得られるので歓迎なのだ。そんな需要と供給に見合う形で現地ヒモというのは世界中の観光地に生息している。個人的には生理的に嫌でもない限りは追い払わない。

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正教会の中

私が出会ったこの現地ヒモ第一号は私を映画館に案内したが、そこはもうすでに廃墟になっていた。今はネットにいくらでも映画が落ちているし、映画よりもテレビを見るので映画館行ってわざわざ映画を見ようという人はいないのである。

彼も英語よりもイタリア語をよく話した。イタリアがシーズンの時には出稼ぎに行くそうで、今はオフシーズンだから実家に帰って、仕事もせず暇を持て余しているのだそうだ。彼はビールを飲みたがったが、私はコーヒーならいいよと言って、映画の代わりにテレビがあるお店に入った。カフェの下にはスイーツ屋さんがあって男はショーケースに並ぶなにやら白いパフェのようなものを指差して、これはすごく美味しいから買ったほうがいいと言った。「あなたも食べんの?」と聞いたら一瞬「いや俺はいいよ」と遠慮して首を横に振ったが、思い直して「2つください」と店員さんに言っていた。もちろん私が払った。上のカフェに持っていき、わたしはコーヒー、男はコーラを頼んだ。あとで私が払った。男は黙々とスイーツを平らげ、一瞬でコーラも飲み干すとテレビの方を見ながら暇そうにしていた。男は英語が苦手で、私のイタリア語で間が持たない。店員や配達の兄ちゃんたちが男に話に来るたびに、男は私を紹介した。すごく愛想がいい人ばかりでみんな私と握手をした。何度もこれから飲みに行こうと誘われたが、自粛して宿に帰った。帰り道はもうすでに暗く、山からの風が冷たかったが、通りには私と逆の方向、つまり新市街の方に多くの若者が歩いて行った。中には女子もいて、イスラム教の地域にしては珍しいと思った。ヒールにスキニーデニムに革ジャン、頭にストール巻いた姿で歩く女子たちは私のことを見て微笑んだ。「もう帰るの?」と言ってるような。あの好青年たちと私も行けばよかったな、と思った。

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自分の存在を意識的に無にする技術をもつ旅人

宿に帰ると、2人の宿泊者がすでに帰っていた。1人は金融機関で働いているという台湾人中年女性、1人は世界放浪中の日本人青年だった。宿泊客全員一人旅中でアジア人なので同胞と巡り会えたようで心が和んだ。結局一人旅といいつつ、以外に一人ではないし誰かと一緒にいるときはそれで楽しい。日本人青年は理系の大学を卒業して、一般企業に就職したがつまらなくて辞めて、アメリカに留学し、留学が終わっても日本に帰るのは気になれず世界一周を始めたそうだ。すごく早口で英語を喋るところから頭の回転の速さを感じた。台湾人は金融機関で働きながら、こうしてよく弾丸一人旅に出るのだという。今回も1週間でアルバニアマケドニアを通ってブルガリアに行くと言っていた。

「やっぱり一人旅のほうが自由自在に動けるからいいわ。現地人に『お前一人か?』って聞かれたら『友達と来てるけど、別行動なんです』って言うようにしているわ」

と言っていた。

次の日彼女が旧市街を観光しているのを見たが、帽子に口元を隠すスカーフに、サングラス姿で一瞬誰だかわからなかった。小柄な体で大きなカメラを持ってシャッターを切っていたのだが、黒子のように目立たない。玄人だな。

その日の夜は宿屋の主人がいきなりオペラを歌って陽気に踊り始めたと思ったら、一転シャワールームに髪の毛が落ちていると若干怒った以外何もなく平和に眠れた。この主人は潔癖だから自分で一人一人客引きしてアジア人を優先して泊めるようにしているのかもしれない。この宿も街も綺麗で落ち着くのでもう何日か泊まりたかった。